和泉式部 |
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暮れにきと 告ぐるを待たで 降りはるる 雪の野寺の 入相いの鐘 |
柿本人麻呂 |
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鐘暗き 野寺の松の 木の間より 山ほととぎす 声ぞ落ちくる |
藤原定家 |
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昨日観し 花のあたりに 夜はふけて 野寺の鐘の 声ぞ聞こゆる |
藤原家隆 |
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一もとの 野寺の花は 散り過ぎて 古りたる池に 蛙鳴くなり |
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鐘の音に 鴨の羽音も哀れなり 野寺の雪の 有明の空 |
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宵に聞く 同じ野寺の鐘の音に あわれは今ぞ 尽き果てぬべき |
藤原信実 |
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深き夜は 誰ぞ待たるる 寝覚めして 野寺の鐘に 袖濡らすらん |
藤原俊成 |
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更けにけり 霜もや今はおちかたの 野寺の鐘に 月はすむなり |
慈鎮(慈円) |
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有明の 月の行方を眺めてぞ 野寺の鐘は 聞くべかりけり |
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暮れて尚 跡なき雪に 分け相ぬ 野寺の鐘よ 音は何処に |
三条西実隆 |
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今日よりは 秋の聲ぞと聞ゆなり 野寺の鐘の 暁の空 |
大江匡房 |
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蒲生野の しめのの原の 女郎花 野寺に見するも いもが袖なり |